第2回 広告費300万をドブに捨てた私が気づいた、デジタルマーケティングの『不都合な真実』

「デジタルを導入すれば、営業マンが汗をかかなくても注文が舞い込んでくる」 そんな甘い誘い文句に、私はまんまと乗せられました。

「魔法の箱」を買ったはずだった

結論から申し上げます。デジタルツールは「拡声器」であって、けっして「魔法の杖」ではありません。 3年前、私は意気揚々と最新のMA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入しました。初期費用と年間契約で300万円。当時の私にとっては、崖から飛び降りるような投資です。しかし、期待は数ヶ月で絶望に変わりました。

なぜか? それは、ツールという「箱」だけを用意して、中身である「言葉(コンテンツ)」を疎かにしたからです。

ツールは「空っぽなメッセージ」を拡散する

理由は単純です。デジタルツールは、情報を届けるスピードや範囲を爆発的に広げてくれます。しかし、届けるべき情報の質を上げる力はありません。

かつての私は、ツールさえ入れればAIが勝手に顧客を見つけ、勝手に成約まで導いてくれると勘違いしていました。現実に起きたのは、中身のないスパムのようなメールを既存顧客に送り続け、大切な信頼を失うという最悪の事態でした。

例えば、印刷機のメンテナンスで忙しい顧客に対し、「当社の最新設備を紹介します」という一方的なチラシのPDFを送りつける。アナログな営業なら絶対にしないような「無礼」を、デジタルの仮面を被って行っていたのです。

投資すべきは「システム」ではなく「言葉」

結局、私はその高額なツールを一度解約しました。そこで得た結論は、**「デジタル投資の前に、顧客が泣いて喜ぶ一通のメールを書けるか?」**という問いに集約されます。

私たちが印刷業で培ってきたのは、顧客の想いを形にする力です。その「想い」がなければ、どんなに高価なツールも無価値な粗大ゴミです。

まず「中身」を磨き直せ

デジタルマーケティングの第一歩は、最新ツールの選定ではありません。自社の強みを再定義し、顧客が今、何を求めているのかを必死に考えること。

まずは1円もかけずに、あなたの顧客一人に向けて、心からの手紙(メール)を書くことから始めてください。それができないリーダーに、デジタルを使いこなす資格はありません。

関連記事

  1. 第5回 私たちはもう、ただの印刷会社ではない。顧客の『想い』をあらゆる…

  2. 第4回 25歳の若手社員が、私の「デジタル師匠」になった日。社長のプラ…

  3. 第3回 印刷会社だから勝てる。QRコード一つで『紙のチラシ』を『データ…

  4. 第1回 DXを『魔法』だと思っていた社長の告白。アナログ印刷会社の生存…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PROFILE

株式会社三和 代表取締役 : 篠原章夫

某建材メーカーの営業を経て2005年に入社。
異業種からの転職でゼロから印刷業界に飛び込み、
デジタル化荒波で紙媒体が猛スピードで縮小する中、悪戦苦闘の日々を過ごす。

PAGE TOP