第5回 私たちはもう、ただの印刷会社ではない。顧客の『想い』をあらゆる手段で届ける、ビジネス・アーキテクトへ

連載の最後に、私がたどり着いた「印刷業の未来」についてお話しします。デジタルを導入した結果、皮肉なことに、私たちは「印刷会社」という看板を下ろすべき時が来たのかもしれません。

手段(紙)ではなく、目的(伝達)を売る

結論です。私たちの真の価値は、インクを紙に乗せることではなく、顧客の「伝えたい想い」を、最適な手段で相手の心に届けることにあります。

デジタルを学んでわかったのは、紙はあくまで「手段」の一つに過ぎないということです。手段に固執した瞬間、企業は衰退します。しかし、顧客の課題解決に固執すれば、企業は進化し続けます。

持続可能性(サステナビリティ)の本質

印刷業という装置産業から、コミュニケーション支援という「知的サービス業」への転換。これが、私が見つけたアナログ企業の生存戦略です。

理由は、顧客が求めているのは「チラシ」ではなく「集客」であり、「会社案内」ではなく「採用」や「信頼」だからです。その目的を達成するためなら、SNSでも、動画でも、そして時には最高級の紙でも、何でも使いこなす。それがこれからの「伝えるプロ」の姿です。

印刷の受注を断り、デジタル戦略を提案した日

先日、ある顧客から大量のチラシの増刷依頼がありました。しかしデータを分析した結果、そのターゲット層はSNSに集中していることがわかったのです。

私はあえて「印刷はやめましょう」と提案し、その予算をSNS広告と、そこからの受け皿となるWebサイトの構築に回すよう進言しました。目先の売上は減りましたが、その結果、顧客の売上は過去最高を記録。今ではその企業にとって、当社は単なる「外注先」ではなく、代えのきかない「戦略パートナー」です。

アナログの「魂」を、デジタルの「翼」に乗せて

デジタルを恐れる必要はありません。それは、私たちが長年磨き上げてきた「顧客への想い」を、かつてないほど広く、深く届けるための最高の武器です。

アナログの誇りを胸に、デジタルの翼を広げる。その先に、あなたの会社の新しい名前が待っています。

私の奮闘記はここで一旦終わりますが、あなたの挑戦はここから始まります。 まずは、自社の屋号から「〇〇業」を外して考えてみてください。あなたは本当は、顧客に何を届けている人ですか?

変化を楽しみましょう。その勇気こそが、未来を拓く唯一の鍵なのですから。

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PROFILE

株式会社三和 代表取締役 : 篠原章夫

某建材メーカーの営業を経て2005年に入社。
異業種からの転職でゼロから印刷業界に飛び込み、
デジタル化荒波で紙媒体が猛スピードで縮小する中、悪戦苦闘の日々を過ごす。

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